2022/03/18 14:18
この世界から子どもがいなくなることはない
子どもたちが安心して成長できるものづくりを続ける
「正」という漢字の由来は「足」を表す「止」と、「町や国」を意味する字を組み合わせたもの。
「足がひとつの場所を目指してまっすぐ進む」というイメージから「ただしい、まっすぐ、間違いのない、ただしくする」という意味があります。
「正」は小学校一年生で習う、子どもから大人まで誰もが知っている漢字です。
誰に教わったかわかりませんが、多数決のときなど、数をひとつずつ数えていく際にもなぜか「正」と書いています。
物心がついた頃から何気なく使っている慣れ親しんだ漢字ではないでしょうか。
私にとって慣れ親しんだ「正」とは、樫原工業を創業した祖父の樫原正(タダシ)です。
祖父は8人兄姉の末っ子で、家族と共に家業の農業を手伝って暮らしていましたが、腰を悪くしたことから農業が出来なくなり、1962年に自宅を改築して縫製工場を立ち上げました。創業当時はジーンズや手袋、バッグの縫製を親戚や近所のみんなと一緒にしていたそうです。
そして1977年に上履きシューズの縫製を始めることになりました。当時は子どもの数も多く、海外製品の流通も少なかった為、工場の中には30人近くの社員がいて、朝から夜遅くまで縫製をしていたようです。
その後、少子化と海外製品の流通へと時代が進んでいきます。
シューズの販売足数は減少して、メーカーはコスト削減の為、海外へ縫製の拠点を移し始めました。
縫製の受注数は減少し、他の縫製工場は次々と廃業したり別の事業へと変わっていきましたが、私たちは上履きの縫製を辞めることはありませんでした。
それは創業者の祖父の思いがあったからです。
「この世界から子どもがいなくなることはない。その子どもたちがどんな使い方をしても大丈夫なシューズにする為にはしっかりとした縫製が大切。子どもたちが安心して成長する為に必要なシューズを作り続ける。」
今も変わらず祖父から父、そして私へとこの思いを受け継ぎ、樫原工業では40年以上子どもたちが安心して成長できるように縫製を続けてきました。
同じように変わらない、上履きといえば定番の形や色。
大量生産する為の靴底の金型や機械。
40年前と今とでは子どもたちの足の形は大きく変わっています。
子どもの足はすぐに大きくなるから、どうせすぐに汚れるからというような買い換えの頻度の高さから、いつしか上履きへの関心はなくなり、流通している製品のほとんどが海外で大量に作られる安価なものへと変化していきました…。
そして、私たちはこんな願いを込めて「正」と名前をつけました。
この世界から子どもがいなくなることはない。
どんな使い方をしても大丈夫な間違いのない縫製技術で安心して成長する為に必要なシューズをただしくする。
これまでのシューズを子どもたちの足と共に変えるというゴールを目指してまっすぐ進む。
この商品を手に取り、お買い求めいただくことは、子どもたちが安心して成長できるものづくりを私たちと共に続けることにつながります。